作品 階下漢

遊芸の歩み

1928年創業

はんこギャラリー遊芸は、私のお爺さんが1928年、杉山印房を開業したことから始まりました。
お爺さんは私が2歳の時、職人として良い印章をたくさん残し逝ってしまいました。

小学校の卒業証書を家に持ち帰ると、そこに押された印は、お爺さんの仕事だよと母から聞かされ、 子どもながらに誇らしく思ったものでした。

お爺さんを知る人たちから楽しいエピソードや仕事に取り組む姿勢をたくさん聞かされ、魅力ある人物像が次第に膨らんでいきました。

新しい杉山印房
戦後の復興から

戦前苦心して建てた、ひらつか七夕通りでの店舗も戦火であっけなく焼けてしまったそうです。

友人たちが木材の調達など充分な援助をしてくれたお陰で戦後ようやく新しい仕事場で印を刻すことが出来たそうです。その中の一人が私の家内の祖父で、お爺さんの親友であり私の母が最も信頼を置く人でした。

母と祖父
母の教え

私の母は、お爺さんの元で高校在学中にすでに印の仕事に携わっていたそうです。 この話を聞いたとき熱いものがこみ上げて来て、今も大きな心の支えと成っているような気がします。

独身時代に篆刻家に学んだことやお爺さんに酒の方も仕込まれた話など亡き母との良い思い出です。
職人気質の母を慕って訪ねて来る人々との談笑は、色々な場面でとても役に立ち感謝しています。

幼い頃の私
「はんこギャラリー遊芸」として

現代の目まぐるしいデジタル化に踊らされることなく、先代の心意気を大切に守ることも私の仕事です。
慣れ親しんだ屋号を思い切って改め、『遊芸』として新たな展開を続けて参ります。

直吉と金作 1928年創業 戦後の復興から新しい杉山印房へ かつての杉山印房 私の母 新しい杉山印房
母 杉山多美江の作品

店鋪移転の整理をしていた深夜、棚の隅から色褪せた風呂敷包みを見つけました。
解いて中身をみると、母の日展作品と当時紹介された記事が出てきました。
ここに母に対する感謝の気持ちを込めて写真を載せておきます。